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2010年7月21日水曜日

電気

3.電気・建築(G-3)
3-1.電気工学(区分コード=31 出題数2問:必須)

●電気の分野では、三相誘導電動機の特性、電動機の分岐回路、電動機の始動方式、インバータ制御などから出題されています。また、配線工事(金属管工事、合成樹脂管、接地工事)は毎年出題されています。


$1.電動機

(1)電源電圧が低下すると、始動トルクは減少する(下がる)。

(2)誘導電動機の回転数(N)は、すべり(s)のため、同期回転数(同期速度)(N0)より低くなる。

(3)N = (1-s)x N0 = (1-s)x 120f/P [rpm] 

{s:すべり f:電源周波数 P:極数}

(4)電源周波数が変わると、回転数も変わる。(50Hz地域より60Hz地域のほうが回転数は20%速く

(5)電源配線のうち2本を入れ替えると回転方向が変わる。(回転磁界が逆になるため)

(6)3相誘導電動機には、かご形と巻線形があるが、かご型電動機は構造簡単・堅ろう・取扱が容易・安い。(~15kw)

(7)インバータ制御は、周波数を変えて(連続的に)速度(回転数)を制御できる。

(8)インバーター制御方式では、インバーターにより電圧と周波数を変化させて、速度を連続的に変えることができる。 インバータ制御は、始動電流を小さくすることが出来るので、電源設備容量が小さくてよい。

(9)インバータ制御は、高調波が発生し、進相コンデンサー等が焼損することがある。




$2.電動機の始動

(1)単相誘導電動機の始動には、コンデンサー始動・分相始動・反発始動方式がある。(~0.4

(2)3相誘導電動機の始動には、スターデルタ始動・始動補償機器始動・リアクトル始動方式等が

(3)スターデルタ始動方式は、巻線をスター結線で始動させる方式で、一般に、11 kW以上の中容量の電動機に使用される。

(4)三相誘導電動機のスターデルタ始動方式の特徴。 {H21}

①巻線をスター結線で始動させ、デルタ結線で運転する方式で、減電圧始動方式の中では、比較的安価である。

②全電圧直入れ始動方式と比較して、始動電流を1/3に低減できる。

③始動から運転に入るときに、電気的、機械的ショックを生じる。

④主に5.5kW以上から45kW程度までの電動機で採用される。。



$3.配線

(1)金属管内で電線を接続してはならない。(ボックス内で接続する、ボックスとボックス間は屈曲を少なくする)

(2)電線の接続は、プルボックスの内部で行った。 {H21}

(3)電動機2台への配線は、1本の金属管に配線を収めて施工することが出来る。

(4)合成樹脂配線管に通す電線はIV電線(600Vビニル絶縁電線)などを用いる。

(5)CD管(合成樹脂製可とう電線管)は、直接コンクリートに埋め込むことが出来る、

(6)300V以下の配線は、D種絶縁、300V超の配線はC種絶縁を施す。(全長4m以下で乾燥している場合は省略可)

(7)交流アーク溶接機の電撃防止装置は、アークの出ていない時の感電防止のためのものであ

(8)PF管(合成樹脂製可とう電線管)は自己消火性があるので、直接天井内に転がして施設し

(9)PF管(合成樹脂製可とう電線管)を直接コンクリートに埋め込んで敷設した。 {H21}

(10)D種接地工事は、 300V以下の機器の鉄台、金属製外箱、金属管などに用いるので、400Vの場合はC種接地工事以上になる。{H21}

(11)浄化槽の分岐回路に、漏電遮断器を設けた。{H21}



3-2.建築工学(区分コード=32 出題数2問:必須)

●建築の分野では、コンクリートの特性、水セメント比、スランプ値、ブリーディング、ワーカビリティ、かぶり厚さ、貫通孔、開口部の補強、配筋に関する内容を理解しておきましょう。


$1.鉄筋コンクリート

(1)水セメント比が小さいコンクリートほど、中性化が遅くなる。

(2)同じ品質のセメントであれば、水セメント比の小さいコンクリートほど強度が大きい。

(3)水セメント比が大きくなると、コンクリートの強度は低下し、乾燥収縮によるひび割れを誘発することがある。{H21}

(4)かぶり厚さは、鉄筋(主筋、あばら筋)の表面とこれ覆おうコンクリート表面までの最短距離をい

(5)かぶり厚さを確保するためには、スペーサーなどを用い、コンクリート打ち込み時の型枠や鉄筋の変位を少なくする。

(6)柱の鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、帯筋の外側からコンクリート表面までをいう。

(7)あばら筋は、はりに生じるせん断力に抵抗する。

(8)主筋の継ぎ手は、応力の小さい部分に設ける。

(9)4辺固定床版の主筋は、短辺方向に配筋する。

(10)コンクリートを打ち込む場合、1箇所に多量に打ち込んでバイブレータ等により横流しをしてはならない。{H21}

(11)床版に最大径が700 mm 以下の開口を設ける場合で、鉄筋を切断するときは、開口の周囲や隅角部を鉄筋で補強する。{H21}



$2.材料に働く力

(1) ピン支持の部材には、曲げモーメントは働かない。


$3.はりの貫通

(1)円形のはり貫通孔の径(d)は、はりせい(H)の1/3 以下とする。
  { d ≦ H/3 }

(2)並列する2つの貫通孔の中心間隔(L)は孔の平均値の3倍以上とする。 
 { L ≧ 3・(d1 + d2 )/2 }

(3)はり貫通孔のためはりのせん断強度が低下するため、ななめ配筋を追加し、せん断補強が必要である。

梁せい(H)が、900mm のとき

(1) Aは、1,080mm以上である。

(2)Bの最大径は、300 mmである。

(3)Cは、3×(B十200)/2 mm以上である

(4) Dは、250mm以上である。



第Ⅱ章 空気調和設備 {選択 G-4~G-7 23問より12問回答}

4.空気調和(G-4、区分コード=41 出題数5問)

●空気調和設備の分野で注目しておかなければならない項目は、省エネ対策に効果的なシステムである

コ・ジェネレーション、空気調和方式、空調負荷、空気線図上の変化、自動制御などです。これらの項目からは、この数年ほとんど毎年のように出題されていますので、最重要項目としてマークしておきましょう。

●コ・ジェネレーションでは、コ・ジェネレーションの特徴、内燃機関の種類と特徴、熱雷比、発電効率について十分に理解をしておきましょう。

●空気調和方式では、定風量単一ダクト方式、変風量単一ダクト方式、ダクト併用ファンコイルユニット方式、床吹出し方式、エアフローウインド方式などを中心に、各種方式の比較についてよく出題されています。


4-1.空調負荷

●空調負荷では、設計用外気温度(TAC温度)、実効温度差、各種負荷の求め方(ガラス窓、外壁、土間など)、負荷と建物形状との関係などが出題されています。



$1.熱負荷全般

(1)壁体の熱通過率は、同じ構造体であっても夏期に比べ冬期の方が大きくなる。

(2)人体負荷は、室内温度が変わっても全発熱量はほとんど変わらないが、温度が上がるほど顕熱が小さくなり、潜熱が大きくなる。

(3)実効温度差は、壁体断面構成、外壁表面の全日射量、外気温度、時刻などにより変わる。

(4)複層ガラスでは、ブラインドを室内側に設けるより、ガラスの間に設けるほうが熱負荷が少な

(5)ダクト表面からの熱負荷や空気漏れによる負荷は、室内負荷の10~15%として計算する。

(6)サッシからの隙間風負荷は、室内を正圧に保つことにより無視することが出来る。

(7)建物の平面形状が長方形の場合、夏期の最大冷房負荷は長辺が東西に面する方が南北の場合より大きい。

(8)同じ床面積の場合、外壁面積や縦横比が大ききなるほど年間熱負荷が大きくなる。

(9)空調エネルギー消費係数(CEC/AC)とは、年間空調消費エネルギー量を年間仮想空調負荷で除した値をいう。

(10)年間熱負荷係数(PAL)とは、ペリメーターゾーンの年間熱負荷をペリメーターゾーンの床面積で除した値をいう。

(11)非空調部分を外周部に配置するダブルコア方式は、センターコア方式に比べ年間熱負荷が大きい。


$2.暖房負荷

(1)土間床・地下壁の透過熱負荷は、年間を通して熱損失側であるので、冷房時の最大負荷計算においては、一般に無視する。ただし、暖房負荷時には損失負荷として考慮する。 {H21}




$3.冷房負荷

(1)冷房計算に用いる外気温度のTAC温度は、超過確率を小さくとるほど、設計外気温度は高く

(2)外壁の冷房負荷は、外壁の日射吸収率が大きくなるほど大きくなる。

(3)外壁の冷房負荷の計算には、実効温度差を使用する。

(4)日射の影響を受ける外壁の冷房負荷は、時間遅れを考慮する。

(5)冷房負荷計算では、土間床や地下壁からの熱負荷は無視する。

(6)冷房負荷計算において、ガラス面からの熱負荷は、室内外の温度差によるガラス面通過熱負荷と、透過する太陽放射によるガラス面日射負荷とに区分して計算する。 {H21}


(7)ガラス窓の冷房負荷は、北側で陽の当らない場合でも、日射負荷を考慮する。


4-2.蓄熱槽

(1)蓄熱槽を設けると、冷凍機を高効率で運転でき、深夜電力の利用が可能となる。

(2)氷蓄熱方式は、氷の融解潜熱と水の顕熱を利用する。

(3)氷蓄熱方式は、水蓄熱方式に比べて蓄熱槽を小さくすることが出来る。

(4)氷蓄熱では、冷媒の蒸発温度が低下するため、冷凍能力および効率(COP)が低下する。

(5)氷の融解潜熱を利用するので、水蓄熱に比べ蓄熱槽の大きさを小さくできる。



4-3.コージェネレーション方式

(1)コージェネレーション方式は、ホテルや病院などのように、熱需要と電気需要が同時に発生する施設に適している。


(2)コージェネレーション方式は、電力と熱の負荷バランスにより総合エネルギー効率が変動す

(3)同じ燃料消費量の場合、
排熱量は、 ディーゼルエンジン < ガスエンジン < ガスタービン  の順で増加するが、

発電出力は、ディーゼルエンジン > ガスエンジン > ガスタービン  の順に減少する。

(4)ガスエンジンを使用する場合、排熱は、排ガスとジャケット冷却水の形で利用(回収)できる。

(5)ガスタービンを使用する場合は、排ガスボイラーにより蒸気を製造し、排熱回収できる。

(6)ガスタービンを使用すると、二重効用吸収冷凍機が使用できる。

(7)発電機の受電並列運転(系統連系)は、自家用発電設備を電気事業者の商用系統に連系して負荷機器に電力を供給することである。自使用分以上の発電量がある場合は、電力会社に余剰電力を売ることが行なわれる。




4-4.空気調和の計画

(1)全熱交換器により熱回収を行う場合は、便所からの排気は利用しない。 {H21}

(2)日射や外気温度による室内への熱の影響を小さくするため、エアフローウィンドウ方式を採用した。{H21}

(3)方位別ゾーニングをした建物で外気冷房を行う場合、北ゾーンより日射量の多い南ゾーンの方が効果が高い。{H21}

(4)搬送動力を削減するためには、温度差を大きくし、流量を少なくする。 {H21}

(5)冷温水の往き還り温度差を大きくとり、送風量、循環水量を小さくすることで、 空調機や循環ポンプ等の空調搬送能力を低減することができる。



4-5.空気調和設備の特徴



$1.定風量単一ダクト方式(CAV方式)

(1)定風量単一ダクト方式は、熱負荷特性のほぼ等しいゾーンにおいて安定した温湿度制御が

(2)定風量単一ダクト方式は、ファンコイルユニット・ダクト併用方式に比べ、中間期などの外気冷房が行いやすい。

(3)定風量単一ダクト方式は、各室間で時刻別負荷変動パターンが異なると、各室間で温湿度のアンバランスを生じやすい。 {H21}


$2.変風量単一ダクト方式(VAV方式)

(1)変風量単一ダクト方式は、変風量ユニットを部屋ごともしくはゾーンごとに配置することにより、
個別制御が可能である。

(2)変風量単一ダクト方式は、送風機の回転数を制御して、省エネルギー効果を上げることが出

(3)変風量単一ダクト方式は、一般的には送風温度を一定とし、送風量を変化させ、室内温度を
調整する。

(4)変風量単一ダクト方式は、最小風量時に必要外気が確保出来るよう考慮する。

(5)変風量単一ダクト方式は、冷房の低風量時にコールドドラフトを生じる(起こす)可能性があ

(6)変風量単一ダクト方式は、低負荷時において吹出し風量が少なくなるため、外気量を確保す
るための対策が必要である。{H21}



$3.ダクト併用ファンコイルユニット方式

(1)ダクト併用ファンコイルユニット方式は、全空気方式に比べ空気搬送動力が少ない。

(2)ダクト併用ファンコイルユニット方式は、全空気方式に比べ送風量を少なく出来るため、ダクト
スペースは小さくてすむが、浮遊粉じんの処理が不十分になりやすい。

(3)ダクト併用ファンコイルユニット方式は、定風量単一ダクト方式に比べ、搬送動力が小さい。



$4.床吹出し方式

(1)床吹出し方式は、一般に天井吹出しに比べ、吹出し温度差を小さくとる。

(2)床吹出し方式は、OA機器の配置換えなどによる発熱源移動に時に容易に対応できる。

(3)浮遊粉塵の少ない空調空間が出来る--床吹き出し口からの粉塵巻き上げはほとんど無く、た
ばこの煙や浮遊粉塵は速やかに天井吸い込み口へ吸い込まれる。

(4)床吹出し方式は、冷房運転時における居住域の垂直方向の温度差が生じやすい。 {H21}



$5.エアフローウインド方式

(1)エアフローウインド方式は、日射や外気温度による室内への影響を小さく出来る。


4-6.空気調和設備の運転・制御

(1)冷却塔のファンは、外気温度による可変速制御とする。

(2)電気集じん器は、空気調和機の送風機と連動運転とした。

(3)外気取入ダンパーは、予冷・予熱時間を経過後に開放し、送風機停止時に閉止する制御とし

(4)空気調和機の送風機は、各VAVユニットの開度信号を空気調和機系のデジタルコントロー
ラーで演算することによる回転数制御とした。

(5)空気調和設備の自動制御対象と検出要素。{H21}
  (自動制御対象)               (検出要素)

①冷却塔ファン発停制御 ―――――― 冷却水の出口温度

②導入外気量制御  ―――――――― 二酸化炭素濃度

③空気調和機コイルの冷温水量制御 - 室内温度

④空気調和機の加湿量制御  ―――― 室内湿度



5.冷暖房・換気・排煙(G-5)

●空気線図上の変化では、冷房運転、暖房運転における各状態点の名称を理解しておくことが必要です。
また、コイル負荷、加湿量、送風量、吹出し温度、外気取入れ量などを求める計算問題も出題されます。

5-1.冷暖房(区分コード=42 出題数2問)


$1.冷房風量

(1)外気導入に伴う熱負荷は、冷房風量の算出には関係しない。


$2.冷房運転

点①は、外気の状態
点②は、室内の状態
点③は、冷却コイル入口の状態で、外気量が多くなるにしたがい点①に近づく。
点④は、冷却コイル出口の状態で、吹出し空気の状態でもある。
顕熱比が小さくなるほど、直線②-④の勾配は大きくなる。
外気負荷は、点①と点②のエンタルピー差と外気量の積(掛算)として求めることが出来る。


$3.送風量

(1)冷房風量(Q)は、次の式で表される(計算できる)。(上図参照)
 Q = 3,600 x qs/{1,000 x ρ x Cp x (t2-t4)} = qs/(0.33x⊿t) [m3/h]
 qs:顕熱負荷[w] ( = 顕熱比(SHF) x 全熱負荷 )
 ρ :空気の密度 ( = 1.2 kg/m3 )
 Cp:空気の定圧比熱 ( = 1.01 kJ/kg・K )
 ⊿t:室内温度(t2)と吹出し空気温度(t4)の差 [℃]


$4.冷却コイル負荷

(1)冷却コイル負荷は、点③と点④のエンタルピー差と送風量の積として求めることが出来る。
 qC(冷却コイル負荷[W]) = 0.33 x Qx(h3 - h4)
 Q :送風量 [m3/h]
 h3:冷却コイル入口(点③)のエンタルピー  [ kJ/kg(DA)]
 h4:冷却コイル出口(点④)のエンタルピー  [ kJ/kg(DA)]


$5.外気負荷、外気取入れ量

(1)外気負荷は、点①と点②のエンタルピー差と外気量(QF)の積として求めることが出来る。
 qF(外気負荷[W]) = 0.33 x QF x(h1 - h2)

(2)外気取入れ量(QF)は次式で求められる。
 QF = Q x(h3-h2)/(h1-h2) [m3/h]

$6.暖房運転

(1)点①は、外気の状態を示す。
(2)点②は、室内の状態。
(3)点③は、加熱コイル入口の状態で、外気量が多くなるにしたがい点①に近づく。
(4)点④は、加熱コイル出口の状態で、加湿器入口の状態でもある。
(5)点⑤は、加湿器出口の状態であり、吹出し空気の状態点でもある。
(6)顕熱比が小さくなるほど、直線②-⑤の勾配は大きくなる。
(7)この空気線図は、蒸気加湿方式の状態を表している。


$7.加熱コイル負荷

(1)冷却コイル負荷は、点③と点④のエンタルピー差と送風量の積として求めることが出来る。
 qh(加熱コイル負荷[W]) = 0.33 x Qx(h4 - h3)
 Q :送風量 [m3/h]
 h3:加熱コイル入口(点③)のエンタルピー  [ kJ/kg(DA)]
 h4:加熱コイル出口(点④)のエンタルピー  [ kJ/kg(DA)]

$8.加湿量

(1)加湿量(L)は、点④と点⑤の絶対湿度差と、送風量(Q)の積として求めることが出来る。
L = 1.2 x Q x (χ5 - χ4)  [ kg/h ]
Q :送風量 [m3/h]
χ5 :加湿器出口の絶対湿度 [ kg/kg(DA) ]
χ4 :加湿器入口の絶対湿度 [ kg/kg(DA) ]


$9.自動制御

●自動制御では、空調機制御上の留意点、VAV方式やVWV方式の制御などから出題されています。

(1)デジタル式は、調整部にマイクロプロセッサを用い、各種制御・演算をソフトウェアにより行い、
複雑で高度な制御に使用される。

(2)加湿器は、サプライダクトに湿度検出器を設置、ファンとインターロックを取る。

(3)VWV方式の冷温水配管系統は、冷温水の制御弁に電動二方弁を使用する。

(4)VAV方式は、インバータを用いた回転数制御とする。

(5)VAV方式は、サプライダクトの静圧を検出して、ファンの制御をする。


$10.パッケージ形空気調和機の性能:COP(成績係数)

●COP:冷房機器などのエネルギー消費効率の目安として使われる係数。消費電力1kWあたりの冷却・加
熱能力を表した値である。 COPは省エネ法にも採用されているため、冷房機器の性能指標として広く一般
に浸透している。冷房機器をある一定の温度条件の下で運転した場合(定格条件)の性能を評価することか
ら定格エネルギー消費効率とも呼ばれ、定格冷房・定格暖房時の消費電力1kWあたりの冷房・暖房能力を
表したもの

(1)COPは、(冷暖房)COP= (冷暖房)能力(kW)÷(冷暖房)消費電力{投入エネルギー}(kW)。 {H21}

(2)外気温度と室内温度の差が小さいほど、COPは大きくなる。 {H21}

(3)ヒートポンプの場合、JISに定める空気温湿度条件では、暖房(加熱)時のCOPは、冷房(冷
却)時より大きい。{H21}

(4)屋外熱交換器が結霜する外気条件では、相対湿度が高いほど、COPは小さくなる。 {H21}


5-2.暖房設備


●暖房設備では、各種暖房方式の特徴、地域冷暖房の熱源受け入れ方式などが出題されています。また、
蒸気配管からは、蒸発タンクやスチームハンマーに関する内容も見落とせません。

$1.蒸気暖房

(1)蒸気暖房は、主として蒸気の持つ潜熱を利用する。

(2)蒸気暖房は、温水暖房に比べて、装置や管内保有水の熱容量が小さいので、予熱時間が短
くてすむ。


$2.温水暖房

(1)温水暖房は、蒸気暖房に比べて、負荷変動に対する制御特性が優れている。


$3.放射暖房

(1)放射暖房は、温風暖房に比べて、室内空気の温度むらが少なく、室内気流が生じにくい。

(2)放射暖房は、温風暖房に比べて、室内空気温度を低く抑えられるので、建物からの熱損失を
少なく出来る。

(3)高温放射暖房は、体育館や工場等の高天井・大容量空間に用いられる。

5-3.地域冷暖房

(1)需要者としては、建物ごとに熱源機器を持つ必要がなくなるので、床面積の利用率がよくな

(2)熱効率の高い熱源機器の採用が可能となり、また発電設備と併設することにより、これの排熱
を利用することができ、エネルギーの有効利用が可能となる。{H21}

(3)熱源に燃焼機器を用いる場合、熱源の集中化により、ばい煙の管理をよりよい条件で行うこと
が可能となり、大気汚染防止にも貢献できる。{H21}

(4)地域冷暖房施設では、負荷傾向が分散されるような需要の場合に、ピーク負荷が低減され有
利になる。{H21}

(5)熱源プラントからの受入れ方式には、直結方式、ブリードイン方式、熱交換方式などがある。

(6)高温水は、蒸気に比べ勾配が比較的容易に取れるので、高低差のある広い地域の暖房に適
している。

(7)高温水配管の加圧用ガスとしては、窒素、アルゴン等が使用される。


5-4.換気・排煙(区分コード=43 換気・排煙出題数4問)

$1.換気設備

●換気設備の分野では、C02、CO、室内気流、浮遊粉じんの許容基準値を覚えておきましょう。浴室、厨
房、劇場、宴      会場、火を使用する室などについて、換気設備の留意点に関する内容がよく出題さ
れます。また、必要換気量では、室内C02許容濃度を基準とする必要換気量の計算問題、居室の換気量と
算定人員の計算問題が出題されています。

(1)機械換気には第1種(給・排気機)、第2種(給気機-正圧室)、第3種(排気機-負圧室)があ

(2)浴室の換気は第3種機械換気とし、使用後しばらく排気送風機を運転し、結露の防止をはか

(3)厨房は第1種機械換気とし、燃焼ガス・臭気・水蒸気が他室へ拡散しないようやや負圧とする。

(4)劇場、映画館の客席部では、窓がある場合でも、一般に、機械換気設備又は中央管理方式
の空気調和設備が必要である。

(5)居室においては、換気に有効な窓部分の面積がその居室の床面積に対して1/20以上あると
きは、換気設備を設けなくてもよい。

(6)ボイラ室は、酸素の供給及び熱を除去するために、第1種機械換気を行った。 {H21}

(7)駐車場は、排気ガスを除去するために、1種(機械給・排気)又は3種(機械排気式)行う。 {H21}

(8)浴室・シャワー室は、湿気を除去するために、第3種機械換気を行った。{H21}

(9)住宅の居室は、換気回数0.5 回/h以上の機械換気を行った。{H21}

$2.排煙設備

●排煙設備の分野では、各種排煙方式の特徴、排煙口の設置位置、手動開放装置の設置位置など、排煙
設備全般について理解しておきましょう。また、排煙機の風量、排煙ダクトの算定風量を求める計算問題も
出題されています。

●建築基準法の関連では、換気設備や排煙設備の設置基準、免除事項、構造(排煙□、防煙壁)、中央管
理室での制御などについて幅広い内容で出題されています。

(1)自然排煙設備は、天井高の高い大空間にてきしており、高温の煙ほど排煙能力が高まる。

(2)自然排煙による場合、排煙上の有効な開口面積は、防煙区画部分の床面積の1/50以上必
要である。

(3)自然排煙口面積は、当該防煙区画の床面積の1/50以上の排煙上有効な開口面積を有する
必要がある。{H21}

(4)天井高さが3m未満の場合、壁面に設けるときの排煙口の位置は、天井より80 cm 以内かつ、
防煙垂れ壁の下端より上の部分とする。{H21}

(5)廊下の排煙は、非難方向と煙の流れが逆になるよう排煙口を配置し、排気口形状は廊下幅一
杯のスリット状の物が良い。

(6)排煙口の設置位置は、当該排煙区画のどの部分からも水平距離で25m以内とする。 {H21}

(7)1つの排煙区画に、自然排気と機械排気を併用してはいけない。

(8)手動開放装置のうち手で操作する部分は、壁面に設ける場合、床面より80 cm から1.5 m の
高さに設ける。{H21}


機械排煙設備

(1)防煙区画の排煙風量は、1分間に、当該区画の床面積1m2につき1m3以上とする。{H21}

(2)2以上の防煙区画を対象とする場合の排煙機の風量は、1分間に、120 m3以上で、かつ最大
防煙区画の床面積1m2 につき2m3以上とする。{H21}

(3)排煙口の吸込み風速は、10 m/s以下とする。{H21}

(4)電源設備には、30 分以上継続して作動する容量の予備電源を設ける。 {H21}

1 一般基礎 

第Ⅰ章 一般基礎                                  

1.環境と気象 ( 区分コード=11 一般基礎  出題数3問:必須)

●気象と環境の分野では、室内環境に関する項目が、ほぼ毎年のように出題されています。

1-0.地球 環 境

(1) 京都議定書による削減の対象となる温室効果ガスは、二酸化炭素、メタン、代替フロン等の6種類である。(H21)

(2) 京都議定書では、日本が他国に協力して実施した事業における温室効果ガスの削減量は、日本の削減実績に繰り入れることができる。(H21)


(3) 日本の2005 年度の温室効果ガス総排出量は、1990 年度比で8.1%上昇している。 (H21)


(4) アンモニアは、地球温暖化係数が小さく、 オゾン破壊係数もの自然冷媒である。 (H21)


1-1.環境工学


●気象では、直達日射、天空ふく射、日射量、大気透過率などの用語の定義を理解しておきましょう。


(1) 太陽定数とは、大気圏外で日光に対して直角な面が単位面積、単位時間当たりに受ける熱量をいう。


    太陽定数≒ 1.382 w/m3 {1.189 Kcal/m2・h}


(2) 日射の熱エネルギーは、紫外線部よりも赤外線部及び可視線部が大きい


    紫外線部:1~2%、 赤外線部:53~59%、 可視光線部:40~45%


(3) 日射の大気透過率(一般に 0.6~0.8)は、夏期より冬期の方が大きい


(4) 直達日射(大気を通過して直接地表に到達する日射)と天空放射(天空全体からの放射として

地表に達する熱)は、昼間に存在し、地表の温度を上昇させる。

(5) 不快指数はむし暑さによる不快の程度を表したもので、乾球温度と相対湿度の組合せで表さ

  DI = 0.81T + 0.01U(0.99T - 4.3)+ 46.3 {T= 気温(℃)、 U= 相対湿度(%)

(6) 不快指数(DI)が75~80程度では、一般に「やや暑い」と感じる。

  80以上:汗の出る暑さ 85以上:暑くてたまらない。



$1冬期における結露

(1) 室内空気の絶対湿度が同じ場合、空気温度が低いほど相対湿度が高くなり、結露が生じや

すい 。(H21)

(2) 外壁に面した室の隅の部分は、他の 部分より伝熱量が増すため、表面結露が生じやすい。

(3) 外壁の室内側に断熱材を設ける場合、防湿層は断熱材の屋外側より室内側に設けた方が、

内部結露が生じにくい。

(H21)

(4) 外壁の室内側に設ける断熱材は、グラスウールよりポリスチレンフォームの方が、内部結露が

生じにくい。

(H21)

1-2.室内 環 境/ 代 謝

●環境では、代謝、温熱環境評価指数(PMV、PPD、ET、CET、OT、D Iなど)、col、metなどの定義が出題されています 。

(1) メット(met)は、人の代謝量を表す単位で、1metは椅子座安静時における代謝量をいう。

  {1met=50kcal/m3・h}

(2) クロ(clo)は、衣服の熱絶縁性を表す単位で、一定の条件の下で1metの代謝と平衡する着衣

状態を1cloという。

    {夏:0.6clo、冬:1.0clo  1clo=0.155 m2・K/W = 0.18 m2・h・℃/Kcal }

(3) エネルギー代謝率(RMR)とは、作業時と 安静時との代謝量の差を基礎代謝量で割った値を

(4) 有効温度は、ヤグローが実験的に求めた温度で、乾球温度、湿球温度及び風速を考慮した

温度である。

(5) 有効温度(ET)とは、乾球温度、湿球温度、風速を総合的に考慮した人体に及ぼす温度をい

同じ体感得る無風、湿度100%の時の気温で表される。      
  ⇒(関連:ヤグローの線

      新有効温度(NET):湿度50%の時の気温

(6) 修正有効温度(CET)は、乾球温度、湿球温度、気流(風速)に放射の影響を加味し、より実

感に近い温度である。

(7) ×修正有効温度は、有効温度に代謝量及び着衣量による影響を付言した温度である。

       ⇒⇒ 修正有効温度は、有効温度にふく射の影響を考慮した温度である。

(8) 作用温度(OT)は、乾球温度、気流、壁面からの放射を総合的に考慮した温度で、実用的に

は周壁面の平 均温度と室内気温の平均で表される。


(9) 作用温度(OT)は、乾球温度、気流、周壁からのふく射を総合的に考慮した温度で、実用的

には周壁面の平均温度と室内気温の平均で表される。

(10) 予想平均申告(PMV)は、人間の冷温感を7段階で示したものである。

      { -3:寒い、-2:涼しい ・・・ +2:暖かい、+3:暑い}  (⇔ 予想不満足度 PPD )

(11) ×PMVは、人の温度感を示す指標で、0に近くなるにしたがって熱的に不快に感じる人の割

合が増加する。

       --- PMVは、予測平均申告といわれ、人の温冷感を示す指標で、熱的中立から外

れた場合の人の温冷感を数値で示したものである。 PMVの値が0に近くなるにしたがって、熱

的に快適に感じる人の割合が増加する。

(12) PPDは、予測不満足率といわれ、熱的に不満足と感じる人の割合をいう。




$室内汚染物質

(1) 二酸化炭素は、室内環境の汚染の程度を示す指標として用いられ、室内環境基準の許容値

は1,000PPM(0.1%)である。

(2) ×二酸化炭素は、室内環境の汚染の程度を示す指標として用いられ、室内環境基準の許容

濃度は10PPmである。 ---- 二酸化炭素は、室内環境の汚染の程度を示す指標として用いら

れ、室内環境基準の許容濃度は1、000PPmである。

(3) 二酸化炭素の濃度が18%以上になると致命的である。

(4~5%:呼吸時間が長いと危険、8%:10分で呼吸困難)

{ 一般の乾き空気中≒0.03%、 室内許容値<0.1%、 多数継続在室時<0.07%、 換気計算の許容濃度<

%}

(4) 空気中の二酸化炭素濃度が18%程度以上になると、人体に致命的となる。 (H21)

(5) 空気中の一酸化炭素の濃度が1%になれば、1~3分間で死亡する。 (H21)

(6) 臭気は、臭気強度や臭気指数で表され、空気汚染を知る指標とされている。 (H21)

(7) ホルムアルデヒドやトルエン、キシレン等の揮発性有機化合物(VOC)は、シックハウス症候群

の原因物質である。

(H21)




1-3.大気の汚染

●地球環境では、フロン、オゾン層の破壊、地球の温暖化、酸性雨などは非常に重要な内容で す

(1) 酸性雨とは、硫黄酸化物や窒素酸化物などから生成した、硫酸や硝酸が溶解した雨や霧など

をいい、酸性雨による樹木の枯死や、構造物の腐食・劣化への影響が問題となっている。

(2) 地球温暖化とは、大気中のCO2、CH4、N2Oな どのガスの濃度が高くなり、大気の温度が上

昇することおいい、干ばつや洪水などの異常気象や、災害を引き起こす恐れがある。

(3) 京都議定書で定められた温室効果ガスは、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、HFC、PFC、

SF6の6種類でこのうち排出量の90%を占めるのが、二酸化炭素である。

(4) オゾン層の破壊は、フロンやハロン (主に冷媒として利用)などが上空で分解されて発生する

塩素が原因     で起こり、皮膚がんの 発生や植物の生育などに悪影響を与える

{ 代替 CFC-11、CFC-12、 HCFC22 ⇒ HFC134a オゾン層破壊係数は下がるが、温暖化係数は低

(5) 光化学オキシダント

1-4.水の汚染

(1) BOD(生物化学的酸素要求量)とは、水中の腐敗性有機物の量を示す指標(有機物により消

費される酸素量)。

(2) COD(化学的酸素要求量)とは汚濁水中の有機物や無機性亜酸化物の量を示す指標。

(汚濁水が過マンガン酸カリウム等の酸化剤で科学的に酸化される時に消費される酸素量)-- 高いほど

(3) SS(浮遊物質)は、汚水中に溶解せずに、懸濁している物質をいい、水の汚濁度を判断する

指標に用いられる。

(4) 窒素及びりんは河川・湖沼・内湾の富栄養化の原因物質である。






2.流体及び熱(G-2)

2-1.流体工学(区分コード=21 流体工学 出題数3問:必須)

●流体の分野では、流体全般と流体の運動が、ほぼ毎年のように出題されています。

$1.流体の性質

●流体全般では、完全流体、定常流、毛管現象、表面張力、粘性係数、境界層の定義を理解しておきましょ
(1)密閉した容器内の流体の一部に加えられた圧力は、流体の全ての部分に等しい大きさで伝
達される。・・・パスカルの原理
(2)一定温度の水に溶解する空気の量は空気圧に比例する。
(3)毛管現象による細管中の液面の高さは表面張力に比例する。
(4)ニュートン流体における摩擦応力(τ)は、速度勾配に比例する。
τ = μ(dv/dy)  (μ:粘性係数  (dv/dy):速度勾配)
(5)動粘性係数は、粘性係数をその流体の密度で除したものである。
(6)動粘性係数(ν)は、粘性係数に比例し、流体の密度に反比例する。
ν = μ/ρ     (μ:粘性係数  ρ:流体の密度)
(7)水の粘性係数は、温度が高くなると減少するが、空気の粘性係数は、逆に温度が高くなると増
加する。
(8)粘性による摩擦応力の影響は、一般に、境界層の近くで顕著に現れる。 {H21}
(9)密閉された容器内に静止している流体の一部に加えられた圧力は、すべての方向に等しく作
用する。{H21}
(10)硬質塩化ビニル管よりも鋼管の方が、ウォータハンマが発生しやすい。 {H21}
$2.流体の運動

●流体の運動では、レイノルズ数、層流と乱流、ベルヌーイの定理、圧力損失(ダルシー・ワイスバッハの
式)、管摩擦係数、ムーディ線図、トリチェーリの定理、ピトー管、ウォーターハンマーなどがよく出題されてい
ます。また、計算問題もよく出題されますので、流体に問する基礎的な計算式は十分に理解しておくことが
必要です。
(1)流れの状態には、層流と乱流があり、レイノルズ数が小さいと層流、大きいと乱流となる。
(2)レイノルズ数(Re)は、流体に作用する慣性力と粘性力の比で表され、流速と管直径に比例し
動粘性係数に反比例する。
Re =υd/ν    (υ:速度  d:管径  ν:動粘性係数)
{ 層流:Re≦ 2,320(3,000)   乱流:Re> 4,000(3,000) }
(3)定常流とは、流れの状態が場所によって定まり、時間には無関係な流れをいう。
(4)ベルヌーイの定理は、流体の持っている全エネルギーが、流線に沿って一定であることを示し
ている。
1/2 ρυ12 + ρgh1 +P1 = 1/2 ρυ22 + ρgh2 +P2 = 一定(エネルギー一定の法則)
(運動エネルギー) (位置エネルギー) (圧力エネルギー)
(ρ:流体の密度  υ:速度  g:重力の加速度  h:位置(高さ)  P:圧力)

(5)ベルヌーイの定理は、流体の圧縮性と粘性は考慮いていない。
(6)トリチェリの定理:水槽下端の小孔から流出する流体の流速は、水位高さの1/2 乗に比例す
υ = √(2gH)
(7)
ピトー管は、管路の中においた2重管の先端に設けた小孔での全圧と、管側壁に設けた小孔
の静圧との差、すなわち動圧を求め、流量(流速)を算出するものである。 ピトー管はベル
ヌーイの定理を応用したものである。
$3.圧力損失

(1)流体が直管路を流れると、粘性のために管壁との間で流体摩擦が働き、抵抗となって圧力損
失(摩擦損失)が生じる。
(2)圧力損失はダルシー・ワイスバッハの式(下記)により求められる。
⊿h = λ・(L/d)・(ρυ2/2g)  [m]  (= ⊿p/γ)
⊿p = λ・(L/d)・(ρυ2/2)   [Pa]   {λ:管摩擦係数 d:管径}
○ 管路での圧力損失は、流速の2乗に比例し、管径に反比例する、
○ 管路での圧力損失は、動圧に比例する
(3)ムーディ線図は、管摩擦係数を求めるのに使用される。( λ = f((ε/d)、Re) {ε:管表面
(4)層流状態では、レイノルズ数が大きくなると管摩擦係数は小さくなる。 λ = 64/Re(層流の
○ 層流状態では、管表面粗さ(ε)は、ほとんど関係しない。
○ 乱流状態でRe数が大きい場合は、(ε/d)が大きく関係する。

$4.流量の測定

(1)ベンチュリー計は、大口径部と小口径部の静圧差を測定して流量を測定する。
(2)オリフィス流量計は、管路にオリフィスを設け、その前後の静圧差から流量を測定する。
(3)せきは、水面からせき縁までの深さを測定し流量を算出する。
$5.水撃作用(ウォーターハンマー)

(1)管路で流れを急に止めた場合に生じる圧力上昇の値は、ジューコフスキーの式(下記)より求
められる。
hmax = ρaυ  { ρ:流体の密度  a:圧力波の伝播速度  υ:流体の閉鎖前の速

○ 水撃圧力は圧力波の伝播速度(a)に比例する。
○ 水撃圧力は、急閉鎖前の流体の速度(υ)に比例する、
(2)圧力波の伝播速度は、管の内径に関係する。(管径が大きい程、伝播速度は小さくなる)
a = a0/√{(1+a02ρD)/E・S}   {a:伝播速度 D:管内径 E:ヤング率 S:管肉
(3)水撃作用を防止のため、管径に応じた流速に留意する
{ 50mm以下の管:1.2 m/sec以下 65~120mmの管:1.5 m/sec  150mm以上の管:3.0 m/sec }
(4)水撃圧力(圧力波の伝播速度)は、配管材料の縦弾性係数(ヤング率)が大きい程大きくな
2-2、熱工学(区分コード=22 熱工学 出題数3問:必須)

●熱の分野では、伝熱に関する項目が、ほぼ毎年のように出題されています。 項目のなかで「……全般」
と表示してあるものは、その出題分野の各項目を設問のなかに取り込んだ問題で、最近、特に多く出題され
る形式です。熱や流体に問する問題は、このような形式が多いようです。
$1.熱

●熱全般では、線膨張係数、比熱比、熱力学の第一法則、熱力学の第二法則、断熱膨張、断熱圧縮、カ
ルノーサイクルなどをよく理解しておきましょう。
(1)気体の体積と圧力を同時に変化させると、温度T、圧力P、体積Vの間には次の式が成立す
る。(ボイル・ゲイルサックの法則)
P・V/T = 一定    ( T[K]、P[Pa]、V[m3] 、T[K]=273.15 + t[℃] )
P・V=mRT      ( R:ガス定数、 m:

(2)上記で温度を一定に保ち変化させた場合は、下記に示すボイルの法則が成立する。
P・V = 一定
(3)ボイル・ゲイルサックの法則にしたがって変化する気体を、『理想気体』という。
(4)各々Vの体積をもち、圧力がP1、P2・・・Pnである気体を、温度一定のまま混合し体積Vの混
合気体とすると、混合気体の圧力Pは次式(各気体の圧力の総和)となり、これをダルトンの法
則(分圧の法則)という。
P=P1 + P2 + ・・・・ +Pn

(5)定圧比熱(Cp)と定容比熱(Cv)の値は、同一種類の液体ではほぼ同じである。(気体では差
が大きい)
(6)比熱比(Cp/Cv)とは、定圧比熱と定容比熱の比をいい、気体では常に1より大きい
Cp/Cv=κ (比熱比)≧1(気体の場合)   { Cp - Cv = A・R  R:ガス定数 }
(7)等方性を有する物質では、体積膨張係数は線膨張係数の約3倍である。(β=3α)
(8)純金属の電気抵抗は、温度が高くなるにしたがっておおきくなる。
(9)ゼーベック効果とは、2種類の金属線で回路を作り、一方の接点を加熱し、他方の接点を冷却
すると、起電力が発生、両接点の温度差に応じた電流が流れる。 { ゼーベック効果は、温度
計に利用されている。}
(10)ペリチェ効果とは、2種類の金属線で回路を作り、これに電圧をかけると、一方の接点は温度
が上がり、他方の温度は下がる現象をいう。  { 電子冷熱に利用されている。}
(11)カルノーサイクルとは、等温膨張 → 断熱膨張 → 等温圧縮 → 断熱圧縮 からなるサイクル
で、あらゆる熱機関の中で熱効率は最大である。
(12)顕熱とは物質の温度を上げる(又は下げる)ための熱量で、潜熱は物質の状態が変わる(液体
→気体)時の熱量。
{ 氷の融解熱= 79.7 kcal/kg at 1気圧、水の蒸発潜熱= 539 kcal/kg at 1気圧 }
$2.伝 熱 (熱放射・熱伝達(対流)・熱伝導、熱通過)

●伝熱では、熱伝導、対流、熱放射、熱伝達、熱通過などの用語の定義を理解しておきましょう。
(1)熱伝導とは、固体内の高温部から低温部へ熱が移動する伝熱現象をいう。

(2)熱伝導による伝熱量は、その固体内の温度勾配に比例する。
(3)熱放射とは、熱エネルギーが電磁波として伝わる現象をいい、熱の移動に媒体を必要としな
(4)熱放射による伝熱量は、ステファン・ボルツマンの法則で表され、物体の絶対温度の4乗に比
例する。
Qr = ε1・ε2・σ(T14 - T2^4)・A1・F12 (ε:放射率、σ:ステファン・ボルツマン定数)

(5)熱放射の強さは、物体の温度と表面の形状により決まる(F12:面1より面2を見た場合の係
(6)熱伝達とは、固体壁とこれに接する流体間の伝熱現象をいい、伝熱量は固体表面温度と周
囲流体温度との差に比例する。
Q = α(θ-t)A・τ  (α:熱伝達率 θ:固体表面温度 t:流体温度 τ:時間)

(7)強制対流は、自然対流に比べ熱移動量が大きくなる。
(8)熱通過(熱貫流)は、固体壁両側の流体間の伝熱現象をいい、伝熱量は両側の流体温度の
差に比例する。
Q= K(t1 - t2)Aτ   ( K:熱通過率 t1 t2:両側流体の温度 A:壁面積 τ:時間)

$3.燃焼 (燃料の酸化現象、酸化と同時に多量の熱を発生する)

(1)高発熱量とは、燃焼によって生ずる水蒸気の潜熱分を含んだ熱量をいう。
(2)理論空気量とは、燃料を完全燃焼させるために理論上必要な最小空気量(最小酸素量)をい
(3)理論空気量は、燃料の種類に関係なく、発熱量 約4,200Kj当り1m3である
(4)空気過剰率(m)は気体燃料に比べ固体燃料のほうが大きい。
m= (供給された空気量)/(理論空気量)
(5)酸素濃度が19%以下になると、不完全燃焼が始まる。(一般空気中の酸素濃度は 20.8 %)
(6)不完全燃焼状態における燃焼ガス中には、二酸化炭素、水蒸気、窒素、及び一酸化炭素な
どが含まれている。
(7)燃焼ガス中の窒素酸化物(NOX)の量は、低温燃焼時よりも高温燃焼時の方が多い。
$4.湿り空気

●湿り空気の分野では、湿り空気の状態変化に関する問題が、ほぼ毎年のように出題されています。また、
露点温度、飽和空気の性質、熱水分比、顕熱比などの用語の定義をよく理解しておきましょう。
●結露・防湿では、表面結露や内部結露に関する仕組みを理解しておきましょう。
(1)断熱飽和温度とは、アスマン通風乾湿計の湿球温度計で測定した温度。
(2)飽和湿り空気とは、湿り空気中の水蒸気分圧がその温度の飽和蒸気圧に等しい湿り空気のこ
と。それ以上蒸気(水分)を取り込めない状態になっている湿り空気。
{ 水分の蒸発は止まり、乾球温度と湿球温度は等しくなる。 水蒸気の含まれる限度は、重量
比で4%まで }
(3)飽和湿り空気では、水分の蒸発がないので、乾球温度と湿球温度が等しくなる。 {H21}
(4)露点温度とは、その空気と等しい水蒸気分圧をもつ飽和空気の温度をいう。
相対湿度(φ)とは、ある湿り空気の水蒸気分圧と、同じ温度の飽和空気の水蒸気分圧との比
(%)をいう。
φ= (p/ps)x100  ( p:ある湿り空気の水蒸気分圧 ps:飽和湿り空気の水蒸気分圧)

(5)比エンタルピーとは、乾き空気1kgが保有する熱量と、混在する水蒸気の保有する熱量の和。
エンタルピー(H) = U(内部エネルギー:エントロピー)+P(圧力)・V(体積)
(6){圧力の上昇や体積の膨張など外部に仕事として取出す事の出来るエネルギーと、温度の関
数であるエントロピーとの総和。}
(7)熱分水比とは、比エンタルピーの変化量を絶対湿度の変化量で割った値をいう。
(熱分水比) = (比エンタルピーの変化量)/(絶対湿度の変化量)
(8)熱水分比とは、エンタルピの変化量と絶対湿度の変化の比のことをいう。温水や蒸気を噴霧し
て加湿する場合、空気線図上で熱水分比と平行に状態変化していく。 {H21}
(9)湿り空気の全圧は、乾き空気の分圧と水蒸気の分圧の和である。
(10)湿り空気の全圧は、その湿り空気中の乾き空気の分圧と水蒸気の分圧の和で表される。 {H21}
(11)100℃の蒸気を噴霧すると、乾球温度はほぼ一定であるが、比エンタルピーは増加する。( 下
図 ③ )
(12)圧力一定のもとで湿り空気を電気加熱器で加熱すると、エンタルピーは増加するが、絶対湿
度は変化しない。 {H21}
(13)結露の防止
(a) 多層壁の構造体の内部における各点の水蒸気分圧を、飽和水蒸気圧より低くする。
(b) 外壁の内側に断熱材を設ける場合は、防湿層の位置を屋外側よりも室内側(高温側)にする。
(c) 室内空気の温度を高くして、室内側壁の表面温度を高くする。

                                                    

①は、表面温度が空気の
露点温度より低い
空気冷却器による冷却である。
②は、水スプレーによる加湿である。×{水スプレーによる加湿の場合、
比エンタルピーは同じ(変化しない)}
③は、蒸気スプレーによる加湿である。
{絶対湿度が上昇、
乾球温度はわずかに上昇する}
④は、電気加熱器による加熱である。           
{絶対湿度は変化せず、
乾球温度は上昇する}
2-3.その他(音・振動) ( 区分コード=23出題数1問:必須)

●音の分野では、音の速さ、可聴周波数、音の大きさ、NC曲線、音の合成、マスキングなどの内容
$1.音の性質

(1)人の耳で聴く事が出来る音の周波数は、20~20,000 Hzである。
(2)音の速さ(c)は、一定気圧のもとでは、空気の温度(T)が高いほど速くなる。
c = 331.5 + 0.6T
(3)音の速さは、空気の温度や気圧により変化するが、15℃の大気圧における空気中では約340
m/sec である。
c(気体中の音速) = √(K・P/ρ)   {K:体積弾性率 P:圧力 ρ:媒質の密度}

(4)音の強さはとは、音の進行方向に垂直な平面内の単位面積中を単位時間に通過する音のエ
ネルギー量をいう。{H21}
(5)音の強さとは、音の進行方向に垂直な平面内の単位面積を単位時間に通過する音のエネル
ギー量をいい、単位はW/m2 で表示される。
(6)音の強さのレベルを20dB下げるには、音のエネルギーを1/100 としなければならない。
STL = 10xlog10(I/I0) [dB]   I = P2/ρ・c   { P:音圧 ρ:密度 c:音速 }
(7)音の大きさとは、その音と同じ大きさに聞こえる周波数が1,000 Hzの純音の音圧レベルの値で
ある。{H21}
(8)人間の聴覚に対する音の大きさのレベルは、1,000Hzにおける音圧レベルを基準として定め
られている。
(9)Phon = ラウドネスレベル
(10)残響時間とは、音源を停止した後、音圧レベルが60 dB減衰するまでの時間をいう。 {H21}
$2.騒音

(1)測定対象の音がある時と、ない時との騒音計の指示値の差が10以下のときは、暗騒音の影響
を無視できる。
(2)マスキングとは、ある音を聞こうとするとき、他の音のために聞きにくくなる現象をいう。
(3)マスキング効果は、マスクする音の周波数がマスクされる音の周波数に近いほど大きい。
(4)NC曲線は、騒音評価をするためのもので、周波数別に音圧レベルの許容値を示す曲線であ
る。(代用NCA曲線)
(5)同じ音圧レベルの音二つを合成すると、音圧レベルは約3dB大きくなる。
(6)音圧レベル50dBと60dBの音を同時に聞くと、音圧レベルは約60dBとなる。
(7)グラスウール吸音材は、周波数の低い音よりも周波数の高い音のほうが吸音率が大きい(効果
が高い)。
(8)遮音性能の良い遮音材は、透過損失が大きい
$3.騒音計

(1)騒音計には、A特性とC特性、それに加えてより平坦な周波数特性を持つFLAT(平坦)特性が
装備され、特に騒音レベルの測定では、常にA特性曲線を使って測定を行ない、その表示
は、例えば80dBAや80dB(A)というようにdBの次にAを付して表現します。 {H21}